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「青い目を通してだけでなく」、「将軍」に命を吹き込んだ真田広之

吉井虎永を演じる真田広之

吉井虎永を演じる真田広之/DNA Films/FX Productions/Michael De Luca Productions

(CNN) 真田広之が「SHOGUN 将軍」でこだわったのは正しさだった。

「時として(ハリウッドは)我々の文化を誤解する」。日本有数の映画スターはCNNにそう語った。「だからこの世界を正しく紹介したかった」

ジェームズ・クラベルのベストセラー小説「将軍」(1975年)を原作として、FXがドラマ化したミニシリーズ。真田は戦国武将の吉井虎永を演じる。

壮大な時代劇の舞台は1600年、戦国時代の日本。虎永(徳川家康がモデル)は結集する敵勢力を前に、命をかけて戦う。真田は虎永の性格を謎めいた戦略家と形容し、「同時に人間であり家庭人でもある。ステレオタイプのサムライではない」とした。

63歳の真田は役者として60年近いキャリアを持つ。だがプロデューサーを務めるのは初めてだった。この機会を利用して制作や衣装、ヘアメイク、さらには「所作の達人」に至るまで、時代劇の専門スタッフを起用し、欧米人のスタッフと一緒になって、本物に根差す世界を綿密に作り上げた。

各部門にはそれぞれ日本人コンサルタントを配置し、真田の言う「シェークスピア日本語」の台詞(せりふ)回しは自らが若手俳優を指導した。

「今回は台本に盛り込む日本人のレンズを増やした」。2024年版の将軍について真田はそう語る。前回1980年のテレビシリーズは原作と同様、英国人航海士ジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャービス)にスポットを当てていた。

「青い目を通してだけでなく」と真田は言う。「きっとそれが(簡単に)理解してもらえる理由の一つかもしれない」

実際のところ、重視しているのは日本人の目から見たストーリー展開だ。キャストのほとんどは日本から採用し、台詞の大部分は日本語で英語の字幕がつく。

「将軍」で戸田まり子役を演じるアンナ・サワイ/DNA Films/FX Productions/Michael De Luca Productions
「将軍」で戸田まり子役を演じるアンナ・サワイ/DNA Films/FX Productions/Michael De Luca Productions

「テレビ番組の展開が非常にグローバルになった今の時代、我々は一つの文化の視聴者のみを念頭に置いて制作されていない何かをかすめようとしている」。共同制作総指揮者でエグゼクティブプロデューサーを務めるジャスティン・マークスは、ディズニー(FXの親会社)のインタビューでそう語っている。

「レイチェル(コンドウ共同制作総指揮者・脚本)と私はアメリカ人で、西洋人の感覚で本作に臨んだ。自分たちの見方や自分たちがこの作品に持ち込むものを、現実的に否定できると思ったことはない。我々がその視点でやろうとしたのは、文化を超越する方法を見つけることだった」(マークス)

ミニシリーズの人気は実証された。ディズニーによると、同ドラマの初回は配信が始まってからの約1週間で900万回視聴され、世界で配信が始まった総合エンターテインメントドラマのトップに立った。同作品はフールー+、ディズニー+、スター+で配信されている。

「将軍」はハリウッドでアジアの存在感が増し、ストーリー展開が多様化している変化の様相を物語る。

ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン主演の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は2023年のアカデミー賞を席巻し、作品賞を含む数々の賞を受賞した。アリ・ウォンとスティーブン・ユァンが主演するネットフリックスの「ビーフ」は今年、エミー賞の6部門を受賞している。

「将軍」がシーズン2に入るかどうかは分からない(小説が終わる部分でドラマも終わる)。真田に水を向けると、参考にすべき「本物の歴史」があるという答えが返ってきた。つまり「誰にも分からない」。ただし「将軍」は、アジアを題材にしたクラベルの小説全6巻のうちの1巻。将来的に、ファンは関連作を期待できるかもしれない。

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