ソマリアの海賊、世界の貿易コストを180億ドル押し上げ
(CNN) アフリカの角と呼ばれるアフリカ大陸東北部沖の海域で活動するソマリアの海賊は、世界の貿易コストを毎年180億ドルも押し上げ、さらに近隣諸国の経済活動に深刻な悪影響を及ぼしていることが、世界銀行の最新の報告書で明らかになった。
コスト増の主な原因としては、船のルート変更による燃料費の増加、割高な保険料の支払い、船の警備コストの上昇などが挙げられる。
しかし、海賊の影響は貿易コストの増加だけではない。近隣の東アフリカ諸国にも大きな経済的打撃を与えており、特に基幹産業である観光業と漁業への影響は甚大だという。
2006年以来、東アフリカ沿岸諸国における旅行客の支出額の伸びは、サハラ以南のアフリカ諸国のそれを25%下回っている。その主な原因として、経済協力開発機構(OECD)加盟国からの旅行者が少ないことが挙げられる。海賊の影響で、東アフリカ沿岸地域の安定した旅行先としてのイメージが損なわれていると見られ、同地域への観光客の数も他のアフリカ諸国に比べて約6.5%少ない。
また世銀によると、海賊の影響を受けている国々の水産物の輸出高は2006年から23.8%も落ち込んでいるという。
世銀は海賊の影響を受けている国として、コモロ、ジブチ、ケニヤ、モザンビーク、マダガスカル、モーリシャス、セイシェル、ソマリア、タンザニアのアフリカ諸国に加え、イエメンやパキスタンなど、ペルシャ湾岸の国々も挙げている。
同報告書は、海賊問題の解決にはソマリアを再建し、国として機能させることが不可欠だとし、国際コミュニティにソマリアの発展性ある政治システム構築を積極的支援するよう促している。