フランス、米欧のFTA交渉の延期求める 米国の盗聴疑惑で
ロンドン(CNNMoney) 米政府が欧州の各国政府や機関を対象に盗聴を行っていたとの報道を受け、フランス政府報道官は3日、米欧の自由貿易協定(FTA)交渉の開始を約2週間遅らせるべきだと述べた。一方で、EUの執行機関で米国との交渉を担当する欧州委員会は、交渉を予定通り進めるとの姿勢を示している。
独誌シュピーゲルは6月30日、米国家安全保障局(NSA)が欧州連合(EU)などを対象に盗聴などの情報収集活動を行っていたと報じた。
欧州委員会は、「交渉の開始が(盗聴問題の)影響を受けるべきではない。EU側としては、そうした包括的かつ野心的な交渉を成功させるには、双方の信頼と透明性、明瞭さが求められることをはっきりさせておきたい」との声明を出している。
ドイツ政府報道官も同じ内容の発言をしている。FTA交渉は8日に始まる予定だ。
EUと米国の間でFTAが締結されれば、EUは年に1600億ドル、米国は1250億ドルの経済効果を得られるほか、他の国々にも1330億ドルの経済効果をもたらすという。
また、FTAは新たに200万人の雇用を産む可能性があり、米欧ともに高止まりしている失業率の低下が期待されている。
フランスは6月にも、映画や音楽を対象から除外しなければFTA交渉の開始には賛成できないと主張。そこでEUは映像・音楽分野を当面は交渉の対象から除外するとの妥協案をとりまとめた。一方で欧州委員会は、交渉開始後の裁量権の拡大を目指している。