米5月雇用は21.7万人増 景気後退前の水準まで回復
ニューヨーク(CNNMoney) 米労働省は6日、5月の雇用統計を発表した。非農業部門雇用者数は前月から21万7000人増加し、2008年1月の水準まで回復した。当時は、直後に景気後退の影響により全米で大規模なレイオフが実施され、失業率は10%まで上昇したが、5月の失業率は前月から変わらずの6.3%だった。
しかし、喜ぶのはまだ早い。経済政策研究所(EPI)のハイディ・シェルホルツ氏は、過去4年間の人口増を考慮すると、米国が健全な経済を回復するにはさらに700万人の雇用が必要と試算する。
ペレス米労働長官も「われわれは正しい方向に向かっているが、まだやるべきことは多い」とし、「まだ多くの人が(社会の)片隅に追いやられている」と付け加えた。
実際、失業期間が半年以上におよぶ長期失業者数は約340万人に上り、さらに730万人が常勤の職を望みながらもパートタイム就労を余儀なくされている。
また全体的に見て、今回の雇用回復は労働省が統計を取り始めた1939年以来最も遅い。CNNMoneyが調査したエコノミストらは、失業率が5.5%前後の「完全雇用」に戻るにはさらに2~3年かかると予想している。
また過去2~3年に創出された雇用は、過去に失われた雇用と必ずしも一致しない。金融危機で失われた雇用は、製造や建設といったいわゆるブルーカラー職が約半分を占めるが、これらの職の雇用は回復が極めて遅い。
一方、全国的に医療、専門職、娯楽・サービスといった職種は、雇用回復にとどまらず、雇用者数が過去最高を記録している。雇用回復の初期段階では低賃金職種の回復が目立ったが、ここにきて中賃金職の雇用も増えているようだ。