健康食にゴキブリ? 中国で養殖
養殖場は倉庫のような建物で、狭い廊下を挟んで、屋根用のスレート板を積み重ねた「巣」が作られている。中に入るとアンモニア臭が鼻をつき、ゴキブリがカサカサと走る音が聞こえてくる。
王さんが育てているのはアフリカ原産のワモンゴキブリで、国内の医薬品会社にトン単位で納入している。
ゴキブリはすり潰されて錠剤にされ、胃や心臓、肝臓のあらゆる不調に効くとして販売されている。中国の漢方薬店では必ず見かける人気商品だ。
だが王さんは薬にするよりそのまま食べるほうがいいと言う。そして事務所にガスコンロを運び込み、ゴキブリをピーナツ油で素揚げにして振る舞ってくれた。
「ゴキブリを食べるようになってから、体調がずっとよくなった」と王さんは言い、もりもり食べ始めた。「今食べないと一生後悔するよ」
ゴキブリの素揚げは、揚げすぎたフライドポテトのようにカリカリしていた。そして持久力がつきそうな後味が残った。