米国で成人男性が労働市場にとどまれない理由とは
米連邦司法統計局の最新のまとめによると、収監中もしくは保護観察中、仮釈放中の男性は2013年、560万人に上った。米紙ニューヨーク・タイムズなどが今年初めに行った調査によれば、25~54歳で無職の男性の約34%が犯罪歴を持っている。
障害を持つ人々にも厳しい雇用環境が迫る。金融危機の間には、社会保障障害保険(SSDI)に登録することを選ぶ男性が急増。障害者認定されている男性労働者の数は1993年から2013年にかけて倍増し、460万人になった。
デーブ・バーケンブッシュ氏(55)はチャンスがあれば働きたいと考えている。だが、医療費を支払えるだけの給料のある職を見つけられない。嚢胞(のうほう)性線維症を患う同氏は06年、経理の職を解雇されて以来、障害者手当を受給。去年、アルバイトの仕事を見つけたが、時給はわずか15~18ドルだ。15年前にもらっていた給料の半分以下で、年10万ドル近い薬代をまかなえる見込みはない。最近は退職後の生活資金にも手を付け始めた。
若い男性労働者も労働市場から脱落しつつあり、特に大卒者以外でその傾向が顕著だ。こう指摘するのは米マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・オーター教授だ。製造業や建設業が不調に陥り、こうした男性が有給の職を見つけられる機会は減っている。
また学歴に関係なく、履歴書に穴があると面接を受けることも難しくなり、半年の空白でさえ問題とされる。エコノミストのジョン・シルビア氏は、「一定期間働いていないと雇用に適さないとみなされる。悪循環だ」と指摘する。
労働参加率の低下は男性やその家族の問題にとどまらず、経済や税収にも影響する。
また、女性との関係にも影響を及ぼすとの調査結果も出ている。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが昨年まとめた報告書によれば、女性が配偶者に求めている要素として最も優先度が高いのは、安定した職業に就いていることだ。「経済的なパートナーになれない男性との結婚を選ばない傾向がある」と報告書の著者は語る。