サウジなど中東産油国、5年内に資金枯渇か 原油安響く
イランが健全財政のために望む原油価格は72ドル。IMFは、同国はこれ以下の価格水準でも10年以下ならしのげるとも分析している。ただ、同国の将来の展望は、核交渉で欧米諸国から得た経済制裁の緩和や原油生産能力の拡大が実現するかどうかにかかっているとも説明した。
イラクは国内対立を抱えている他、過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の勢力伸長もあり財政的な防御手段は事実上保持していないと強調。国内の内乱が経済活動に悪影響を及ぼしているとも述べた。
バーレーンも多額な債務を抱え、ここ数年連続の財政赤字に直面している。より意味のある引き締め策が必要との指摘もある。
一方、原油の低価格が長引いても、クウェート、カタールやアラブ首長国連邦(UAE)は乗り切れると予想。高水準の原油価格に依拠していない国家予算づくりが1つの要因としている。
IMFは、クウェートが収支バランスを図る上で必要な原油価格は49ドルと推定しているが、現在の相場よりちょっと高いだけの水準に過ぎない。カタールの場合は56ドル、UAEは73ドルと見ている。
これら3カ国は経済的に厳しい時期に将来を見据え原油収入を蓄えてきたと説明。UAEは1バレル50ドルでも約30年間耐えられる財政手段を有しているとし、カタールとクウェートは原油の低価格が続いても約25年はもちこたえられると分析した。