難民流入、EU経済を0.2%押し上げ 欧州委が見通し
ロンドン(CNNMoney) 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は8日までに、中東などからの難民や移民らがEU域内へ押し寄せている問題に関連し、域内の経済成長率を加速させ、労働市場で抱える問題点の解消につながる可能性があるとする報告書を公表した。
国連によると、今年これまで欧州へ逃れてきた難民らの数は約74万4000人。先月だけで21万8000人以上を記録し、昨年通年の総数を上回った。EUは域内に入る難民らは2017年までに約300万人に達するとも予想している。
難民らの欧州諸国への殺到は加盟国らの財政に重荷となっている。急増を受け、救出、国境管理、収容施設の確保、保健衛生や他のサービス提供などへの支出を強いられている。
しかし、EUの報告書はこれらの追加支出がより高い成長率に即座につながるとの見解を示唆。難民や移民らの殺到は成長率を約0.2%押し上げる効果を持つとも分析した。
難民らの流入が欧州に与える好影響の程度については難民らが保持する技能次第とも指摘。より高水準の技能を持つ移民らの貢献の度合いはより大きいとしている。
欧州諸国は高齢化や人口減に直面し、社会保障や保健医療制度などの将来を揺るがし始めている。それだけ移住者を必要にする社会構造になりつつある。若年層の労働者の流入は高齢化対策などの進展につながる可能性もある。