OPEC、減産見送り 加盟国間の溝深く
ニューヨーク(CNNMoney) 石油輸出国機構(OPEC)がウィーンで開いていた総会で、加盟各国は4日、原油の生産目標の設定を見送った。供給過剰による価格下落への対応が焦点だったが、各国間の対立を露呈した。
7時間に及んだ総会での合意見送りで、日量3000万バレルの生産量を実質的に維持する形となった。実際の日量は3150万バレルとみられる。
今回の見送りや生産量決定をめぐる報道の錯綜(さくそう)を受け、原油価格は1バレル42ドルから39.60ドルまで下落した。
OPECを主導するサウジアラビアは、原油価格を抑えて、米国などの高コストの生産者を市場から駆逐する長期的戦略をとる。1年前から始まったこの戦略には、資金の豊富なクウェートやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)などの湾岸諸国が賛同するが、米国の生産量は過去最高の水準で推移し、目立った成果が出ていない。
一方、資金力に余裕のないアルジェリアやアンゴラ、ナイジェリア、ベネズエラなどは、原油価格の上昇のため減産すべきだと主張。何もしなければ1バレル30ドルまで下落する恐れもあると警告した。
OPECのバドリ事務局長は4日、「この決定は次回の会合に持ち越すことに決めた。そのころには情勢がより明確化しているだろう」と述べた。
米国などのOPEC非加盟国での生産増がもたらす加盟国の対立について、調査会社クリッパーのマシュー・スミス氏は「OPECはほとんど分解している」と語った。