任天堂米国法人が女性社員を解雇、理由を巡り物議に
ニューヨーク(CNNMoney) 任天堂の米国法人ニンテンドー・オブ・アメリカが、ゲームにおける女性擁護を声高に主張していた女性社員を解雇した。この処遇を巡り、ゲーム業界での嫌がらせ問題に再び注目が集まっている。
アリソン・ラップさんは2013年に入社してマーケティングを担当していたが、先月30日付で解雇された。ネット上では、女性に対する嫌がらせで非難されている「ゲーマーゲート」集団から、頻繁に標的にされていた。
ゲーム情報サイトの「コタク」によれば、ラップさんはゲームに登場する少女キャラクターの性表現を抑えることを決めた任天堂の判断を巡り、炎上にさらされていた。この意思決定には関与していなかったにもかかわらず、任天堂の決定に不満を持つ人たちのため、一種のスケープゴートのような存在になってしまったという。
任天堂はラップさんの解雇理由について、内規に反して企業文化と相反する副業を行っていたためと説明。「数週間前から特定グループの批判にさらされていたこととは一切無関係」と強調する。副業の内容は明らかにしていない。
ラップさんは取材には応じていない。しかしツイッターでは、任天堂は副業を禁じていないと反論した。仮名を使っていた副業が知られたこと自体、自分を追い落とそうとする炎上集団に原因があると主張。ありとあらゆる個人情報をネットにさらされるなどの被害に遭っていたことも明らかにした。
またラップさんは、任天堂は難しい問題には立ち入らない会社だと述べ、入社後間もなく「レイプ文化についてツイッターに投稿しないよう指示された」とも語った。
ラップさんの解雇に反発する声も広がっている。元NFL選手でゲーマーのクリス・クルーウさんは、もう任天堂製品は買わないと宣言。「彼女はずっと嫌がらせを受けてきた。任天堂は沈黙を続けたばかりか、彼女を解雇してしまった」「憎悪集団に1人の女性の仕事を奪わせるような企業行動は容認できない」としている。