世界に広がる「バナナ危機」、新型の伝染病で生産体制崩壊
ロンドン(CNNMoney) かつて最も人気の高かった種類のバナナを壊滅させた病気が再び世界各国の生産地に広がり、バナナ輸出に大きく依存する中南米を脅かす事態になっている。
このほど開かれた国際バナナ会議の会場は、直前になって中米コスタリカから米マイアミに変更された。出席者の靴に付いた汚染土から、中南米に病気が広がる恐れがあるという理由だった。
問題の病気は「パナマ病」。「萎凋(いちょう)病」とも呼ばれ、アジアからオーストラリアの一部、アフリカ、中東へと広がっている。特に欧米で消費されるキャベンディッシュ種のバナナが影響を受けやすい。
国連食糧農業機関(FAO)は今月、パナマ病について「世界で最も破壊的なバナナの病気の1つ」と指摘。この病気に対抗するため、360億ドル(約4兆円)規模のバナナ業界が行動する必要があると強調した。
パナマ病はかつて、1960年代に最も人気があったグロスミシェル種のバナナを壊滅させた。代わって台頭したのが、病気に強いとされたキャベンディッシュ種だった。
しかし新型のパナマ病によって、アジアの一部でバナナの生産が崩壊。バナナの研究者や生産者は現在、キャベンディッシュ種に代わる新種のバナナの開発に力を入れている。