景気回復の恩恵、富裕層に偏り低所得層には届かず OECD
ロンドン(CNNMoney) 経済協力開発機構(OECD)は24日に発表した報告書で、金融危機で大きな打撃を被った貧困層が世界の景気回復から取り残されていると述べ、「景気回復の果実は均等に共有されていない」と指摘した。
OECDによると、先進国の2007~10年にかけての実質所得は下位10%の低所得層が16.2%減ったのに対し、上位10%の富裕層は4.6%減にとどまった。
2010~14年にかけて景気が回復しても、低所得層の所得の伸びは1.6%にとどまった。一方、富裕層は5.2%増えている。
10%の富裕層の所得は2014年までに金融危機前の水準に戻ったが、低所得層10%の同年の所得は金融危機の前に比べて14%少なかった。
所得格差は米国が最も大きく、上位20%の富裕層の所得は下位20%の低所得層の所得の8.7倍を上回る。
一方、先進国の中で格差が最も小さいアイスランド、ノルウェー、デンマークでは、富裕層20%の所得は低所得層20%の所得の約3.5倍にとどまっている。
中国で9月に開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、経済格差是正に向けた対応が必要との認識で一致していた。