ベネズエラ、新たな高額紙幣届かず 通貨危機の混乱に拍車
ニューヨーク(CNNMoney) 通貨危機に直面する南米ベネズエラが一段の混乱に見舞われている。深刻なインフレに対応して発行する新紙幣・硬貨が予定の15日になっても多くの銀行やATM(現金自動出入機)に届かず、両替や預金のために長蛇の列を作った人々は不満をあらわにした。
ベネズエラ政府は先ごろ、現在の最高額紙幣である100ボリバル札と新しく発行される高額紙幣(額面500~2万ボリバル)との交換を15日に始めると発表。またマドゥロ大統領は11日のラジオ演説で、72時間に限って100ボリバル紙幣と同価の新硬貨の交換を行うと述べていた。
ところが15日になっても新紙幣や新硬貨は流通せず。北西部の都市マラカイボに住む24歳の男性は「新紙幣なんてどこにもない」「100ボリバル札では買い物などできない」とため息をついた。
この騒ぎは、ベネズエラが直面している経済的混乱を象徴している。為替相場は暴落し、インフレが急進。食べ物や薬は不足しており、買う場合にも山のような札束が必要だ。
ソーシャルメディアでは15日、国営ベネズエラ銀行のATMからもまだ100ボリバル札が出てくるとの声が上がっていた。
メレンテス中銀総裁の報道官はCNNMoneyに対して、新紙幣はまもなくベネズエラに到着し、各銀行に「順次」届けられると説明したが、詳細な予定については触れなかった。
ブルームバーグによれば新紙幣の印刷は米クレーン・カレンシーが請け負っているが、同社からコメントは得られなかった。
国際通貨基金(IMF)の予測では、今年のベネズエラのインフレ率は470%で、来年には1660%にも達するという。11月だけで通貨ボリバルの価値は約55%も低下した。国民は買い物の際も、札を数えるのではなく、札束の重さを量って支払いをしている状態だった。