米ユナイテッド便で過剰予約、乗客を引きずり出す強制措置に非難殺到
(CNN) 米ユナイテッド航空の旅客機で、過剰予約により座席数が足りなくなるオーバーブッキングが発生し、既に搭乗していた男性乗客が警官に両手足をつかまれて無理やり機外に引きずり出される騒ぎがあった。
乗り合わせた複数の乗客がこの様子を撮影したビデオをソーシャルメディアに投稿し、ユナイテッド航空には非難が殺到。対応した警官1人が休職扱いとなり、米運輸省も調査に乗り出すと表明した。
騒ぎは9日の米シカゴ発ケンタッキー州ルイビル行きの便で起きた。ユナイテッド航空の広報によると、座席数が足りなくなったため一部の乗客に降りてもらう必要が生じ、複数の乗客に対して補償と引き換えに座席を譲ってもらうよう頼んだ。同便にはルイビルで別の便に乗務する乗員4人を搭乗させる必要があったという。
しかし自発的に降りてくれる乗客がいなかったことから対応を余儀なくされ、乗り換え便への接続など複数の要因を判定するシステムを使って、降りてもらう乗客を決定した。
対象となった男性乗客に対しては何度も状況を説明したが、聞き入れてもらえなかったため、運輸省が定める手順に従って、シカゴ航空局の係員が同機から排除したとしている。
別の乗客が撮影したビデオには、警官3人が座席に座っていた男性乗客を引きずり出し、両手足をつかんで仰向けの状態で通路を引きずりながら運んでいく様子が映っている。周囲の乗客からは抗議の声が上がっていた。
この場面を目撃した乗客によると、まず警官2人が穏やかな口調で座席を譲ってほしいと頼んでいたが、もう1人の警官が乱暴な態度で降りるよう指示、拒まれると男性の体をつかんで無理やり座席から引き離した。
男性はアームレストに頭をぶつけて叫び声を上げ、自分は医師だと名乗って、中国人だからこんな対応をされるのかと抗議していたという。機内は騒然となり、泣き出す子どももいた。
乗客の1人は、無理やり降ろされた男性が後に顔から血を流しながらまた同便に搭乗してきて、その後再び、今度は抵抗することなく降ろされたと話している。この証言について、ユナイテッド航空は確認していない。
米運輸省によると、ほとんどの航空会社は乗客が現れなかった場合を想定して座席数を超す予約を受け付けている。自発的に降りてもらえなければ航空会社が乗客を選んで降ろすことも認められているという。
しかし動画が投稿されたことを受けてユナイテッド航空の対応を非難する声が殺到した。