「ウーマノミクス」は日本を救うか 安倍政権が女性活躍を後押し
トヨダ・ナオコさんはIT企業に10年間勤めたが、第1子出産後に新人レベルまで降格となった。周囲を見ても、出世しているのは子どもを産まない選択をした女性ばかり。会社に抗議して特例を認めてもらうことも期待できないと考え、退職を決意したという。
ゴールドマン・サックス証券によれば、働く日本女性の約70%は出産と同時に仕事を辞める。この割合は米国やドイツの2倍以上だ。
米国とドイツでは、保育の問題が退職の主な理由となっている。これに対して日本では、在宅勤務が認められず、女性の転職が難しいといった労働環境の厳しさから職場復帰を断念する女性が多い。
ワーク・ライフ・バランスの問題を扱う米シンクタンク、CWLPが11年に実施した日本女性のキャリアに関する研究によれば、日本女性の4分の3は出産後の職場復帰を望んでいる。しかし実際に元通りのキャリアに戻れるのは43%。復帰しても給与を削減されたり、トヨダさんのように社内で冷遇されるケースが多いという。
化粧品大手の資生堂は、この問題に90年代から積極的に取り組んできた。長期の育児休暇や勤務時間の短縮、保育手当ての支給、社内保育所の設置など、仕事と育児を両立しやすい環境づくりを進めている。女性の管理職も増えているが、13年末までに全体の30%という目標には届かない見通しだ。