人間と機械――繁栄の鍵は「協力」にあり
チェス盤の最初のマス目に米を1粒だけ置いた上で、64個のマス目すべてを埋めるまで、マス目ごとに米粒の数を倍増していってほしいと頼んだのである。
王様は当惑しながらも、財務担当の臣下に命じ、要望通りの褒美を与えた。
すると、最初は1粒だったのが2粒、4粒、8粒、16粒、32粒、64粒、128粒、256粒、512粒という風に倍々に増大し、チェス盤の半分にあたる32マス目に到達するころには、累計で40億粒以上となってしまった。これには臣下もひるんだが、倉庫にある米で足りるだろうと計算し、高をくくっていた。
だが、チェス盤には後半部が残っていた。そして、33マス目の40億粒から始まり、再び倍々にしていって最後の64マス目を迎えると、総計は1800京粒以上にまで膨れ上がったのである。世界中の米粒をかき集めても、まだ足りない。
この臣下は結局、王様によって処刑されたとも伝えられている。
今日のコンピューターの性能はいわば、チェス盤の後半部に入った段階だ。