世界の海面、年平均3ミリ上昇 地域差大きく低下する場所も
(CNN) 世界の海面は年間に平均約3ミリのペースで上がり、特に太平洋の一部地域で急上昇していることが、欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星による計測結果から明らかになった。
1992年10月から2010年3月まで、衛星のレーダー高度計で計測したデータを分析した。全体として海面が上昇しているのは、気候変動で氷河や氷床が解けてきたためとされる。
1年間に12ミリも上昇した場所がある一方で、別の場所では12ミリ下降するなど、地域による偏りが大きいことも分かった。最も上昇が激しいのは太平洋地域のインドネシア、パプアニューギニア、フィリピン、ソロモン諸島など。フィリピンでは近年、豪雨による洪水が続発し、今年8月にも多数の死者が出た。海面が上昇すれば、マニラ首都圏が洪水に見舞われる確率は今世紀末までに倍増するとの研究結果も報告されている。
ただ科学者らによると、同じ地域で今後も平均以上の海面上昇が続くとは限らない。ESAの報道担当者は、地域間の差が大きくなるほど、将来は縮小に向かうとの見方を示している。
イタリアのベネチアでは海面が年間約2ミリのペースで上昇し、さらに年間約2ミリの地盤沈下が続く。今後20年間にわたって街を守るため、79億ドル(約6200億円)の予算をかけて、可動式の防潮堤を設置する事業が進行中。14年中に完成する計画だ。