海底掘削で人類初のマントル到達なるか 日本の探査船が活躍
海底からマントルに至る穴の直径はわずか30センチ。「プールの深い部分に髪の毛ほどの細い針金を垂らし、底に沈む0.1ミリの筒を通して何メートルも掘り進めるような作業だ」と、ティーグル氏は説明する。
掘削作業には、日本が2005年に完成した「ちきゅう」という探査船が使われる。ちきゅうは長さ10キロまでのドリルパイプを搭載することが可能。これまでの掘削で、海底から2.2キロという世界最深記録を樹立している。
マントル到達を難しくしている問題のひとつは、パイプの先で回転させる「ビット」の寿命だ。ビットは50~60時間ごとに交換する必要があり、この点が改善しない限り、掘削作業には何年間もかかってしまうという。
プロジェクトに必要とされる資金10億ドルのうち大半は、これから調達しなければならない。ちきゅうの建造に資金を投じた日本に加えて参加各国などから資金提供が受けられれば、20年までに掘削作業を開始し、20年代初めにはマントル到達することも可能だと、ティーグル氏は話している。