ロンドン金融街でローマ時代の遺物発見、工芸品など1万点
(CNN) 英ロンドン考古学博物館の考古学チームは10日、ロンドン中心部の金融街にあるビル建設予定地の発掘調査で、ローマ時代のお守りや木造建築物、古文書など多数が出土したと発表した。ロンドンが「ロンディニウム」と呼ばれていたローマ時代の日常生活の様子を知る貴重な手がかりになるとしている。
発掘調査は米通信社大手ブルームバーグの新社屋建設予定地で行われた。約半年がかりで3500トンあまりの土を手作業でかき分け、ローマ帝国が英国を支配していた西暦40年ごろから5世紀初頭にかけての工芸品など1万点あまりを掘り起こした。
出土したのは琥珀(こはく)のお守りや、騎士が伝説の生き物と戦う姿をかたどった革の工芸品のほか、木製の壁や床板、工場の排水を川に流すために使われた排水網の遺構など。さらには儀式のために井戸に投げ込まれた牛の頭蓋骨(ずがいこつ)や、硬貨、大量の陶磁器、筆記版、衣類や古文書まで残っていたという。
良好な状態で保存されていたのは、かつてこの場所に川が流れていたためと考えられ、発掘チームはこの地を「北のポンペイ」と呼んでいる。
同地では1954年にミトラ教寺院の遺跡が発掘され、1960年代に再建されていたが、今回はこれを解体して未発掘だった場所も発掘した。
ミトラ教寺院はブルームバーグの新社屋が完成した時点で再建され、今回の発掘で見つかった出土品も一般に展示される予定だという。