南アの北極グマ、パートナーの死に悲嘆
(CNN) 南アフリカ・ヨハネスブルクの動物園で飼育されている日本生まれのホッキョクグマが、30年近く連れ添ったパートナーを失って元気をなくしている。動物園は、何とか悲しみから立ち直ってもらおうと必死だ。
オスのホッキョクグマ「ワン」は日本の動物園で生まれ、ライオンとの交換プログラムで同動物園にやって来た。カナダから来たメスの「ジービー」とは生後半年の時から28年間、ずっと一緒に過ごし、孤独を好む傾向のあるホッキョクグマでは異例の仲の良さだった。
ところが1月にジービーが心臓発作で突然死に、ワンは一人ぼっちになった。
「あの日、ワンは普通ではなかった」と飼育係は話す。いつもなら飼育舎に入ってきて旺盛な食欲を見せるのに、この日は死んだジービーの周りを歩き回り、一晩中離れようとしなかった。仕方なくワンを動けないようにして、ジービーの死骸を回収したという。
それからのワンは食欲をなくし、泳ごうともしなくなった。ジービーが生きていた時は、一緒に水の中で過ごすのが大好きだった。「いつもとても悲しそうに見えた。暑い日は泳ぐのが大好きだったのに、それもしなくなった」(飼育係)
そこで動物園はワンを元気付けようと、バレンタインデーには果物や肉を箱に詰めてプレゼント。ワンはこれが気に入った様子で、箱を開けて中身を食べる姿を見せてくれた。
ファンからもたくさんの贈り物が寄せられ、降雪機まで届いたという。
こうした努力のおかげでワンの食欲は回復し、周りのことにも関心を示すようになった。ただ、今でも泳ぐ姿はほとんど見せない。動物園は、もっと元気になってもらうためにできることを考え続けている。