中国でパンダを襲うウイルス 2頭死亡、3頭目も重症
(CNN) 中国で、これまでにジャイアントパンダ2頭が犬ジステンパーと呼ばれる致死性ウイルスにより死亡し、現在3頭目も危機的状況に陥っている。
中国国営通信が今週伝えたところによると、検査で5歳のパンダ「鳳鳳」(フェンフェン)の心臓、肝臓、腎臓、肺に深刻なダメージが見られ、現在、獣医らが抗ウイルス療法による治療を行っているという。
また、陝西省希少野生動物救急飼育研究センターの広報担当によると、昨年12月はじめから「城城」(チェンチェン)と大宝(ダバオ)の2頭のパンダが犬ジステンパーにより、相次いで死亡したという。
犬ジステンパーは、パンダにとって生命に関わる危険なウイルスで、これまで同ウイルスに感染したパンダの8割が死亡している。同研究センターによると、感染がどのように起こったか分からないという。
パンダの病気の治療・予防にあたっては適切なツールがないことが多く、飼育係たちは同ウイルスの対応にも苦慮している。
中国農業大学獣医学部のジン・イーペン准教授は次のように語る。
「ジャイアントパンダにとっては厳しい状況だ。中国では、ジャイアントパンダ向けのワクチンを製造している企業や研究機関がない。つまり、パンダのウイルス感染を効果的に予防するためのワクチンを見つけるのは不可能に近い」
絶滅危惧種であるジャイアントパンダは中国で国宝と考えられており、中国政府はジャイアントパンダの保護・保存に莫大な資源を費やしてきた。
ここ数年、科学者らがパンダの飼育下での繁殖で大きな成果を上げているが、今回のような深刻な病気がまん延すれば、こうした取り組みが台無しとなる恐れもある。