宇宙のエネルギー放射が20億年で半減、「やがて光消える」
(CNN) 宇宙は徐々に死にゆく過程にある――。世界の科学者100人以上で構成する研究チームがそんな論文をまとめ、欧州南天天文台のウェブサイトで10日に発表した。宇宙の死についてこれほど綿密な研究が行われたのは初めて。
研究チームはオーストラリアや米国、チリなど世界7カ所にある天体望遠鏡と、地球の軌道上にある宇宙望遠鏡のデータを解析し、20万以上の銀河から届く電磁放射などのエネルギーを調べた。
その結果、宇宙から放射されるエネルギーの量は20億年前に比べて半分にとどまることが分かった。紫外線から遠赤外線に至るまで、すべての波長が弱まっていたという。
宇宙は誕生から138億年がたち、晩年に差しかかっていると研究者は解説する。「宇宙はいわばソファに座って毛布をかぶり、永遠の眠りに向けたまどろみに入ろうとするような状態」。研究チームを率いる天文学者のサイモン・ドライバー氏はそう表現する。
宇宙は死んでも存在しなくなるわけではない。ただ、光や炎を放つ恒星や天体が徐々に消滅する。
天文学者のルーク・デイビーズ氏はその状態を、「何十億年もの年月を経て、質量をエネルギーに変換する量が徐々に減り、やがて冷たく暗い荒れ果てた場所になって、すべての光が消える」と描写する。
ただしそれが起きるのは何兆年も先のことだという。