缶詰食品の摂取で化学物質濃度上昇、健康リスクと関連指摘も
(CNN) 健康リスクを生じさせる可能性について論議が交わされている工業化学物質のビスフェノールA(BPA)について、缶入りスープやパスタなどを摂取すると、体内での濃度が極端に高くなるという調査結果が29日の学術誌に発表された。
BPAは缶詰の缶の内側の塗装に含まれる物質で、缶入り食品の摂取によって人体に取り込まれることが分かっている。
米スタンフォード大学の研究チームは、米国で6歳以上の7669人を対象とした2003~08年の調査データを分析し、24時間以内に摂取した食品と、その日の尿から検出されたBPAの濃度の関係を調べた。
その結果、缶詰食品1缶分を24時間以内に食べた人のBPA濃度は、缶詰を食べなかった人に比べて約24%高く、2缶分以上を食べた場合は約54%高かった。
食べた缶詰の内容別に見ると、缶入りスープを摂取した人のBPA濃度は缶詰食品を摂取しなかった人に比べて229%も高いことが判明。缶入りパスタは70%、缶詰野菜は41%高かった。
スープ缶のBPA濃度が高い原因として研究者は、製造工程で加熱することや、脂肪分が多いことに起因するのではないかと推測する。BPAは脂肪に溶ける性質を持つ。
缶詰食品のBPAが健康リスクを生じさせるかどうかについてはまだ研究段階にある。しかしBPAが体内の正常なホルモンの働きを乱す可能性はあるとされ、スタンフォード大学のジェニファー・ハートル氏は、「BPAは糖尿病、肥満、心臓血管系疾患、生殖発達問題といった健康への悪影響と関連している」と話している。