深宇宙探査、物理学の限界を超えて<2> 反物質エンジン

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(CNN) 複数の民間企業も火星探査ミッションを推進している。宇宙開発企業「スペースX」の最高経営責任者(CEO)で、電気自動車メーカー、テスラ・モーターズの会長兼CEOでもあるイーロン・マスク氏は、2020年代半ばに有人火星探査ミッションの実現を目指している。

前回「深宇宙探査、物理学の限界を超えて<1> 人類はどこまで行けるのか」はこちら

米航空宇宙局(NASA)も宇宙飛行士や宇宙探査機の保護の問題に着目し、小さなチューブに入った炭素、ホウ素、窒素、水素を使ったシールド技術を研究している。

宇宙放射線技師のジョナサン・ペリシュ氏は、NASAのウェブサイト上で「水素を豊富に含む物質など、われわれがすでに持っている技術で解決できる問題もあるが、中にはわれわれがまだ考えも及ばない最先端の概念が必要になる問題も出てくるだろう」と述べている。

宇宙飛行士らの安全を確保する方法を発見したとして、次に、彼らをいかにしてある場所に迅速に移動させればいいのだろう。

これまでに提案された推進力の1つが「反物質動力」だ。

何やらSFに出てきそうな名前だが、原理はいたってシンプルだ。物質を反物質と混ぜると、互いに打ち消しあい、利用可能なとてつもないエネルギーが放出される。

英ラザフォード・アップルトン研究所(RAL)の天文学者で宇宙科学者のバリー・ケレット氏は、「エンジンはシンプルだが、問題はいかにして燃料を確保するかだ」と指摘する。

スイスの欧州原子核研究機構(CERN)の施設にある粒子加速器は反物質の生成が可能だが、ごく微量しか作れない。CERNによると、現在の技術では1グラムの反物質を作るのに約10億年を要し、さらに莫大な費用がかかるという。

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