豪グレートバリアリーフ、3分の2以上に深刻な白化現象
(CNN) オーストラリア北東岸に広がる世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフで白化と呼ばれる現象が拡大し、3分の2以上の範囲が深刻な状態に陥っていることが11日までに分かった。上空からの新たな観測で明らかになった。
白化は海水温の上昇や荒天の影響で、サンゴと共生して養分を補給している藻類が失われてしまう現象。現地の専門家らによると、昨年と今年の2回にわたって大規模な白化現象が相次ぎ、サンゴ礁全体の北部から中部にかけて約1500キロの範囲で壊滅的な被害が出た。
グレートバリアリーフでは過去にも1998年と2002年の2回にわたって大規模な白化現象があったが、2年連続で起きたのは初めてとされる。
上空からの観測にあたった豪ジェームスクック大学のジェームズ・ケリー博士は「今年もまた新たな被害を観測することになるとは驚いた」と語った。
豪研究機関、オーストラリア研究会議(ARC)のサンゴ礁研究センターによると、昨年報告された過去最大規模の白化は北部が中心だったが、今年は中部の白化が進んだ。
ケリー博士は、3月に襲来したサイクロンで事態がさらに悪化したとの見方を示す。
サンゴ礁は白化現象でただちに死滅するわけではなく、海水温が下がれば藻類が復活する可能性もある。しかし高温の状態が続けば最終的には死滅し、そこに生息する多様な海洋生物も危機に陥ってしまう。
ケリー博士によると、海水が平均最高温度を1~2度上回り、その状態が3~4週間続いただけで、サンゴ礁にとっては厳しい環境になる。「高温が長期間続けばサンゴ礁は白化するだけでなく、ゆだってすぐに死滅してしまう。まさにそれが起きたのではないか」と、同博士は話している。