「コーラン冒涜」で夫婦殺害、窯で焼かれる パキスタン
イスラマバード(CNN) パキスタンの警察は6日までに、同国東部ラホール市郊外の町でイスラム教の聖典コーランを冒涜(ぼうとく)した疑いがかけられたキリスト教徒の夫婦が群衆に殴打され、燃える窯の中に押し込められて死亡する事件があったと報告した。
地元警察は事件に関連し最大で40人を逮捕した。イスラム教指導者が夫婦の不敬を断罪した後、隣村の住民が自宅に押し掛け、入り口を壊して2人を引きずり出し、暴行を加えたという。夫婦はれんがをつくるこの窯で働いていた。
事件はパンジャブ州の州都ラホールから南西へ約60キロ離れた町で発生。同国の人権委員会は警察の情報として推定500人が襲撃に加担したと述べた。
同委の声明によると、夫婦には息子2人と娘1人がおり、妻は妊娠中だった。コーランを冒涜したとの証拠は一切入手していないという。
イスラム教が国教の同国では不敬罪は死刑もしくは終身刑の処罰を伴う。人権団体によると、この罪名は個人的な遺恨を晴らす口実にもしばしば使われている。人権委は今回の事件もその1例と疑い、夫婦が窯の所有者から借りたお金をめぐるもめごとがあったとしている。
夫婦が不敬罪を犯したとの宣告はモスク(イスラム教礼拝所)の拡声器を通じて近辺に流されたという。
人権委員会によると、警官4人が窯がある場所に出向き、夫婦の安全を図るため身柄の引き渡しを要求。しかし、窯の所有者が従業員に拒絶するよう指示した。逆に警官が殴打される被害を受けていた。今回の逮捕者の中には窯の所有者も含まれている。