カリブの海賊の背後にエリート貴族
ロンドン(CNN) 海賊が全盛期を迎えていた17世紀、英国の海賊の多くは著名な政治家やビジネスマンと共謀していた――ミュージアム・オブ・ロンドン・ドックランズで開催されている「海賊 キャプテン・キッド物語」の展示物から、こうした事実が明らかになった。
キャプテン・キッドは、海賊行為と船員の殺人罪に問われ、テムズ川の海賊処刑場にて1701年に処刑された。キッドの遺体は、海賊になろうと考える人への見せしめとして、鉄のケージに入れられ川の上に何年もつるされていた。
しかし、キッドは本当に罪人だったのだろうか。今回の展示会で明らかになったのは、キッドがロンドンの富裕層の利益戦争に巻き込まれたあやつり人形に過ぎなかったという事実だ。
当時キッドは、伯爵や貴族、海軍本部などの主要政府機関に雇われ、怪しい事業にかかわっていた。政府機関は通常の合法的な私掠船契約を無視し、キッドの私掠船船長としての専門知識を利用して金もうけする特殊な契約を結んでいたのだ。
キッドを支援していたのは、実は東インド会社のライバルだった。キッドの活動が同社の利益に悪影響を及ぼすと感じた東インド会社は、キッドがアルメニアの商用船を攻撃した際、この行為が私掠船として合法ではないとして、キッドが逮捕されるように陰で糸を引いた。
その後キッドは裁判にかけられるが、裁判では彼の無罪を証明する書類がなぜか紛失し、自身で証拠を提出することも禁じられた。
今回の展示会は10月下旬まで開催されており、キッドの最後の手紙や略奪物の全リスト、17世紀の本物の海賊の旗などが展示されている。こうした展示物が、海賊の黄金時代の謎を解く鍵となるかもしれない。