72メートルの素潜りに挑戦の男性、浮上後に死亡
(CNN) バハマで開かれた素潜りの大会に出場し、72メートルの潜水記録に挑戦していた米国人男性が、浮上した直後に意識を失い、死亡した。大会関係者が明らかにした。
米ニューヨーク在住のニコラス・メボリさん(32)は17日、バハマ諸島にある深さ202メートルの海底洞窟「ディーンズ・ブルーホール」で開かれた大会に出場。タンクや足ひれなどの装備なしで潜り、72メートルの記録達成を目指していたが、浮上して「OK」のサインを出した30秒後に意識を失った。
同大会は10日間の日程で開かれ、世界21カ国から56人のダイバーがさまざまなイベントに参加していた。
素潜りは何千人もの愛好者に、ほかに比べるもののない体験をもたらす。世界選手権で十数回の優勝経験を持つウィリアム・トルブリッジ氏は「静まり返った深い水の中に浮かぶ感覚は素晴らしい」と話す。
素潜りでは体内にさまざまな生理学的変化が起きるという。「ほかのスポーツでは経験できない現象がブラッドシフトといって、両手両足の血液が体の中心に集まる。水圧で肺が縮み、そこへ血液が集中する」と、トルブリッジ氏は説明する。
「身体的スポーツであると同時に精神的なスポーツでもある。いや応なくその瞬間を生きることになるのが素晴らしいところだ。水の中では悩みも解けてなくなり、ただそこにいる自分だけが残る」という。