流麗な字を書く200年前の自動人形
フィラデルフィア(CNN) 米ペンシルベニア州フィラデルフィアの博物館にある約200年前に作られた人形は、静かにたたずんでいるところだけ見ればマネキンのように見えなくもない。だが、台座についたハンドルを回すと真ちゅうでできたぜんまいが動き始め、人形は手に持った鉛筆を下ろし、文字を書き始める。
このぜんまい仕掛けの自動人形はフランクリン協会が保有する。少年の姿をしたこの人形は、3編の詩を流麗な筆記体で書いたり、絵を描いたりできる。自動人形のなかでも特に複雑で精巧な機構をもつタイプだ。
この人形は18世紀にロンドンで作られた。フランクリン協会に来た時には、その出自は分かっていなかった。
だが整備されて動けるようになると、人形は「自己紹介」を行った。紙に詩を書かせたところ、「マイヤデの自動人形」とサインしたのだ。内部の恐ろしく精巧な機構を作ったのは、スイス出身の高名な時計職人アンリ・マイヤデだった。
だがマイヤデの工房を出てから、この人形がどんな旅を経てフィラデルフィアにやってきたのかはほとんど分かっていない。
整備を担当するチャールズ・ペニマン氏(85)がこの人形を初めて見たのは75年前のこと。「時間が経てば経つほど、動く仕掛けの精緻さへの敬意は高まるばかりだ」とペニマン氏は語る。