建築のノーベル賞「プリツカー賞」に坂茂さん、被災地で紙の住宅
(CNN) 建築家にとって世界最高の栄誉とされる米プリツカー賞の2014年の受賞者に、坂茂(ばん・しげる)さんが選ばれた。日本人の受賞は昨年の伊東豊雄さんに続く2年連続となる。
坂さんは20年以上にわたり、紙や段ボールといったシンプルな素材を使って自然災害の被災者のための仮設住宅などの建築を手がけてきた。
1995年の阪神大震災では、ビール用ケースに土嚢(どのう)を詰めてベトナム難民のための仮設住宅を建設。2011年の東日本大震災では運送用コンテナから住宅を作り出した。昨年はニュージーランドのクライストチャーチに紙管を使った大聖堂を完成させた。
ハイチからルワンダ、中国に至るまで、坂さんが手がける低コスト素材の建築は、被災者にとって生活再建のシンボルになっている。
同賞を主宰するハイアット財団のトム・プリツカー会長は坂さんについて、「20年以上にわたり、自然災害によって引き起こされた過酷な状況に対して創造性と質の高いデザインで応えてきた」と評価した。
坂さんはCNNのインタビューに答え、予想外の受賞に驚いたと話している。紙などの素材を使った建築物については、建物の耐久性は素材とは無関係で、コンクリート製の建物が簡単に壊れてしまうこともあれば、紙管の建物が永続性を持つこともあると指摘した。
被災者のための建築を手がけた背景には、自分たちの職業に対する失望があったとも打ち明け、建築家はもっと社会のために働くことができると話している。