女子チェスの米王者、ヒジャブ着用義務なら世界大会「不参加」
(CNN) 米国のチェスの女子王者は1日までに、イランで来年2月に開催予定の世界選手権で出場者がイスラム教徒の女性用スカーフ「ヒジャブ」の着用を義務付けられた場合、大会には参加しないとの考えを示した。
ヒジャブは、髪だけ覆って顔は隠さないデザインとなっている。米国の女子王者であるナジ・パイキーズ・バーンズさんはCNNの取材に、イランは以前主催した大会で女性選手に常にヒジャブ使用を強いてきたと指摘。
来年の大会も同国の法律に沿って要求するだろうが、宗教的かつ性別的な差別であると強調した。その上で大会の実施場所が変更されないのなら、参加しないと明言した。
また、パンアメリカン大会で以前優勝したことがある女性もイランの大会に参加予定の64選手に対し、ヒジャブ着用の規則への抗議を促した。南米エクアドル出身で現在は米テキサス州居住の女子選手も、64選手に限らない世界的な女性の権利の問題であると主張。「スポーツはこの種の差別行為と無関係であるべきだ」と述べた。
国際チェス連盟の女性部門の最高責任者は、ヒジャブ使用の問題で選手側からいかなる苦情もこれまで届いていないと説明。不平不満が寄せられたら、専門的かつ外交的に処理したいと語った。ただ、個人的な見解として、1国の文化を尊重する意味合いでヒジャブを着用した場合、これを問題にはしないとの考えも示した。
同連盟の報道担当者はCNNへの声明で、来年の大会についてはイランが唯一の立候補国だったと指摘。同国開催については米国を含む150カ国・地域の連盟から反対意見が出なかったため決定されたと語った。今後数週間にわたりイランの大会組織当局と選手権に関するあらゆる問題を協議する予定であることも明かした。