米国内の生産要求なら撤退、ユニクロの柳井氏表明
ニューヨーク(CNNMoney) カジュアル衣料「ユニクロ」を経営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4月1日までに、トランプ米大統領が唱える国産品購入、地元雇用の拡充の施政方針に関連し、仮に米国内での生産を直接求められたら、米国から撤収するとの考えを表明した。
朝日新聞との会見で述べた。ユニクロは現在、米国内で51店を展開。同会長によると、今年は少なくとも20店を追加する方針。ただ、トランプ政権や連邦議会の貿易問題に関する動向を注視したいとの立場も示した。
柳井氏は米国が輸入する外国製品への課税に反対する考えを表明。いかなる関税も事業経費の増大につながり、消費者に利益を与えないと主張。「米国内で顧客に恩恵があるコスト水準での良質な商品の生産は可能ではないだろう」とし、それでも生産するなら米国で商売することに意味がないと強調した。
ユニクロの報道担当者は3月31日、最高級の品質の衣料品を手ごろな値段で提供する事業の核心的な価値は今後も変わらないと述べた。
ユニクロ以外の外国企業もこれまで、トランプ政権下で対外貿易を規制する措置が講じられるなら相応の影響が出てくるだろうと警告している。ユニクロや他の企業が米国市場から撤退した場合、それでなくとも生存競争を強いられている米国のショッピングモールの窮地はより深刻になるとの指摘も出ている。
「メイシーズ」「コールズ」や「シアーズ」などの大手百貨店は厳しい経営環境に直面しているが、ユニクロに加え、「フォーエバー21」「ザラ」「H&M」などのファストファッション企業の業績は好調となっている。
CNNMoneyは以前、米国人の買い物客は国産品の購入を望んでいるが、実際の消費行動では製造国への配慮はなく、より安価でより良質な商品を選んでいるとするアンケート調査結果を報じてもいた。