東日本大震災から5年 福島の現場を行く
福島(CNN) サイトウ・ソウイチさん(65)は地震が起きたとき病院にいた。前立腺がんの手術を終えたばかりで、6階の壁が揺れ始めたときは体を休めている最中だった。医療機器が床に落下した。
2011年3月11日、マグニチュード(M)9.0の地震が発生し、揺れは約6分にわたった。史上最大規模の揺れが東北から関東にかけての地域を襲った。
地震は本州が2メートル以上東に移動するほど大きいものだった。衝撃により40メートル級の津波も発生し、人々がまだ余震で動揺しているなか、陸地へと押し寄せてきた。
地震やその後の津波などによる死者・行方不明者の数は2万を超える。また、十数万人が家を失った。
しかし、地震や津波は始まりに過ぎなかった。
サイトウさんは、病院の窓から眼下にある町を津波が襲うのを力なく見つめていたことを思い出す。最初に頭に浮かんだのは近くにある福島第一原発のことだった。
もし、津波が原発を襲い、炉心冷却のための電源が失われると大変なことになると思ったという。
自宅では、サイトウさんの家族には、できるだけ早く避難するよう指示が出ていた。急いでいたため、飼い犬もつないだまま家を離れたという。犬はその後、保護され、家族と再会している。