サウジ当局、通信アプリ遮断の可能性も 相次ぐデモに危機感か
(CNN) サウジアラビアの通信当局は、もし通信事業者が国の規制に従わない場合、「スカイプ」など無料通話やメッセージの送受信ができるアプリに対し「適切な措置を取る」と発表した。国営サウジ通信(SPA)が1日までに伝えた。SPAによると、同アプリのサービスを利用できなくなる恐れがあるという。
問題にされているのはスカイプや「Viber」「WhatsApp」など、インターネット経由でメッセージの送受信や通話ができるアプリ。同国の通信情報技術委員会(CITC)はSPAを通じて「これらアプリとサービスについては、条件を満たさない場合、適切な措置を取る」と発表した。
CITCは、具体的にどのような規定に触れるのかは明らかにしていない。通信事業者に対して、開発元と連携して迅速に対応を取り、アプリに規定を順守させるよう求めている。
これに先立ち地元メディアは、CITCが通信事業者に対してこれらアプリを政府に監視させるよう求め、3月30日を期限として回答を迫ったと報じていた。
同国の著名ブロガーはこの背景について、「WhatsAppを通じて多くのデモが組織されていることが一因だと思う」との見方を示した。サウジアラビアでは最近、政治犯の釈放を求める小規模のデモが頻発しているという。
絶対君主制を採る同国ではデモなどの活動は禁止されている。しかしWhatsAppやスカイプは通信の内容が暗号化されることから、安全に連絡を取り合える手段として、人権団体や女性の権利向上を訴える団体も頻繁に利用しているという。
同国の状況に詳しい専門家は、サウジ政府がこうした状況に危機感を持ち、アプリの監視を模索しているとみる。
これに対して前出のブロガーは、「安全でないと分かれば別のアプリに移るだけ。(政府が監視しようとしても)時間の無駄だ」と話している。