米ハフィントン・ポスト、読者の匿名コメント禁止へ
(CNN) 米有力ネット新聞「ハフィントン・ポスト」は、来月から記事のコメント欄に投稿する読者に対して実名の公表を義務付けると発表した。
この方針は、創業者で発行人のアリアナ・ハフィントン氏が21日にボストンで行った講演の質疑応答で明らかにした。講演の中で同氏は、「表現の自由は、匿名性の陰に隠れることなく立ち上がって発言する人たちのためにある」「ハフィントン・ポストでは常に、真の対話のための環境を保つことを重視してきた」と語った。
同紙はこれまでもシステムや人間が間に入り、問題のあるコメントは非掲載とする措置を取ってきた。しかしハフィントン氏は「成熟したインターネットのニーズに応えるために、もう1歩前進したい」と述べている。
この発言は裏を返せば、「トロール」と呼ばれるたちの悪い匿名コメントの問題が深刻化していることを物語る。講演を取材したボストン・グローブ紙によれば、ハフィントン氏は「トロールはますます攻撃的になり、醜悪になっている」と語ったという。
ウェブサイトはどこも、匿名の陰に隠れて悪質な投稿でコメント欄を埋め尽くしてしまうユーザーを取り締まるための対策に苦慮してきた。ソーシャルメディアなどでサイバーいじめに遭い、ユーザーが自殺に追い込まれる事件も起きている。
ハフィントン・ポストの広報は、来月から新しいポリシーの導入を予定していることを確認した。具体的な内容については計画が固まり次第発表するとしている。
2005年の創業以来、読者から同紙に寄せられたコメントは2億6000万件に上るという。同サイトは現在でも、「文明的で楽しめる場」としての質をおとしめるようなコメントは削除すると明記している。