米、顔認識技術の利用基準で人権団体と業界代表が物別れ
ニューヨーク(CNNMoney) 顔認識技術を使って個人の購買行動などを追跡し、販売や広告に活用する動きが広がっている。
こうした技術の利用についてのガイドラインを策定するため、プライバシー保護を求める人権団体と小売業界とネット広告業界の代表は16カ月間にわたって話し合いを続けてきた。
だが米自由人権協会(ACLU)などの人権団体側はこのほど、消費者を適切に保護する規制案の策定は難しいとの考えから業界団体との話し合いから撤退すると発表した。
人権団体側は声明で「人は最低限、聞いたこともない企業から一挙手一投足を追跡され、個人名を特定される恐れなしに往来を歩けなくてはならない。顔認識技術の使用はこうした事態を引き起こすものだ」と述べた。
その上で「残念ながら、そうした基本的で具体的な前提についても(業界団体側とは)合意に至ることができなかった」と説明した。
ソーシャルメディア(特にフェイスブック)では、ユーザーの友人や関心事、現在の居場所や過去の買い物まで、個人の顔写真にリンク付けすることができる。広告業者にとって、こうしたデータはまさに金の卵を産むガチョウだ。
最近まで、そうしたネット上の個人情報と、それぞれの実生活を結びつけるすべはなかった。店側は来店した客の身元を知ることはできなかったし、どんな品を勧めるべきかも分からなかった。
だがここ2年で技術は進歩し、店に入ってきた客の顔とネット上の個人情報を結びつけることができるようになってきた。
今回問題となったガイドラインは、業界の自主規制のためにオバマ政権がとりまとめを求めていたものだ。人権団体側は、顔認識の対象になって構わないかどうかを個人に選ばせるべきだと主張。一方、小売業界やネット広告業界は事前承認を含む規制案に反対したという。