海に浮かぶ「フロート空港」 実現の可能性は?
航空コンサルタントのバド・スラバート氏によれば、カリブ海にある複数の政府やインフラ運営主体が小規模なフロート空港の建設を検討しているという。
カリブ海の島国は国土が狭い上、地形も山がちであり、輸送面で航空機に大きく依存している。
ただ、こうした案の実現可能性については依然として懐疑的な見方を示す専門家もいる。
コンサルタントのR・W・マン氏は、コスト面で割高なことや実用的な利点が限られていることから、こうしたプロジェクトが実際に動き出す公算は低いと指摘。南シナ海などで進む海上滑走路の建設は経済面以外の思惑に支えられている面が大きいと述べる。
空港建設は巨大な投資であり、海上建設の場合はなおさらだ。フロート空港の構想自体は長年にわたり存在してきたが、いまだ実現していない。空港移転も98年の香港や92年の独ミュンヘンなど、依然として少数の例にとどまる。
英ロンドンでは、世界有数の混雑度で知られるヒースロー空港の将来をめぐり何年も議論が続いてきた。数ある提案の中でも特に目を引くのが、テムズ川河口域への移転だ。
著名な建築家のノーマン・フォスター氏は、ロンドン東方の湿地帯にあるグレイン島に4本の滑走路を持つ空港を建設する構想を提案。ボリス・ジョンソン前ロンドン市長(現外相)らがこのプロジェクトを支持したことから「ボリス島」と呼ばれた。だが、英空港委員会によって2014年に却下されている。
さらに野心的な計画もある。テムズ川河口の中央に空港を建設するというもので、建築事務所ゲンスラーなどが提案した。