モルディブの高級リゾート、蚊がいない楽園の島実現へ 化学物質は一切使わず

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モルディブ・クンフナドゥ島で化学物質を使わない蚊の駆除の取り組みが進んでいる/Courtesy Soneva Fushi

モルディブ・クンフナドゥ島で化学物質を使わない蚊の駆除の取り組みが進んでいる/Courtesy Soneva Fushi

(CNN) ハイキングやビーチでリラックスしようとした時に蚊に悩まされた経験がある人なら、たった一匹の小さな害虫が休暇に大きな影響を及ぼし得ることを痛感しているだろう。

蚊は単なる厄介者ではなく、マラリア、デング熱、ジカ熱といった病気の媒介者として、より深刻な健康リスクをもたらす可能性がある。高級リゾート施設を展開するソネバグループがモルディブ・クンフナドゥ島で手掛ける「ソネバフシ」では、こうした蚊の駆除に何年も取り組んできた。

ここで見いだされた最も効果的な解決策によって、蚊は劇的に減少。島の熱帯植物や生物の繁栄にもつながったという。

ソネバは、環境に優しい誘引剤を利用した蚊取り器の開発を行うドイツのバイオジェンツと提携している。ソネバの社会・環境意識部門でディレクターを務めるアーンフィン・オインズ氏は「我々は化学物質を使用せずに蚊を駆除する方法をずっと模索していた」と述べている。

この地域では長年にわたり蚊の問題と戦ってきたが、5月から11月のモンスーン・シーズンは状況が悪化する。ソネバはさまざまなトラップの使用や、蚊の繁殖地を除去するなどの取り組みを試してきたが、どの方法でもそれぞれ課題が残った。

同氏によれば、他の蚊の駆除方法には「加熱蒸散や噴霧処理」も含まれるが、殺虫剤が蚊だけを正確に狙うことは難しく、リゾートのゲストやスタッフに不快感を与えかねない。こうした駆除方法を慎重に試そうとしたが、ゲストの迷惑になることは避けられなかったとオインズ氏は説明した。

さらに、これらのやり方は通常、成虫の蚊の駆除には有効だが、しばらくすると蚊は耐性を獲得し、化学物質が効かなくなる。一方で、同島に生息する多くの他の虫類は耐性を獲得できず、結果としてチョウやトンボ、マルハナバチ、カブトムシの個体数が顕著に減少した。

ソネバは2019年、初めてバイオジェンツのトラップシステムを導入。島全体に2種類のトラップを計500個以上設置した。一つ目のタイプは「BG―GAT」と呼ばれるもので、すでに人間を刺し、産卵場所を探しているヒトスジシマカを対象とした受動的なトラップだ。

二つ目のタイプ「BG―Mosquitaire CO2」は、酵母と糖の発酵により生成される二酸化炭素(CO2)と人間の皮膚を模倣した乳酸を使用し、血液を求める蚊を引き寄せることを目的としたものだ。

「BG―Mosquitaire CO2は、CO2と汗の匂いを使用して人間をシミュレートするという点でユニークかつ効果的」とオインズ氏は話す。これら2種類のトラップは基本的に、人間と同じような匂いと「呼吸」によって、虫をおびき寄せて封じ込める。最初の数週間で1日当たり数千匹の蚊を捕獲できたという。

ソネバでは蚊の生態についてスタッフの教育も行っている。現在、ソネバのチームは敷地内の点検を行い、防水シート、落ちたココナツの殻など、蚊の繁殖に必要な水がたまる可能性のあるものを特定し、減らすための取り組みを行っている。

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