学校で生徒に緊急避妊薬を処方、制度めぐり論争 米NY市
ニューヨーク(CNN) 米ニューヨーク市で、保護者の同意がなくても学校が生徒に緊急避妊薬(モーニングアフターピル)などを処方できる制度をめぐり、論議が高まっている。
ニューヨーク市では17歳以下の妊娠が年間7000人を超え、うち90%を予定外の妊娠が占める。そうした現状に対応するため、市は2011年1月から、コンドームや避妊薬を学校で配布できる制度を試験的に導入した。望まない妊娠を避けるため事後に服用する緊急避妊薬もこの制度に基づき支給されている。
同制度を採用するハイスクールは、当初の5校から現在は13校に増えた。制度に強制力はなく、保護者が学校に書面を提出すれば、利用を拒むこともできる。しかし市当局によれば、これまでに書面を提出した保護者は1~2%にとどまっている。制度に基づきこれまでに緊急避妊薬を含む避妊薬を受け取った生徒は、約1100人に上るという。
この制度が最近メディアで脚光を浴びたことから賛否両論の声が噴出し、反対派の保護者会も結成された。同会の代表は、市と市長による「完全な権限の逸脱」だと反発し、保護者の知らないところで子どもの健康に影響が出る恐れがあると危惧する。
一方、ある母親は「子どもが子どもを持てば、教育はそこで終わる」と語り、自分の娘が通うハイスクールでもこの制度が利用できればよかったのにと振り返った。
ブルームバーグ市長は記者団に対し、「まだ年端もいかない少女の妊娠があまりに多い。こうした若い親による子育てが非常に難しいことは、歴史的にも実証されている」と強調している。