1セント硬貨は不要? カナダが廃止、米国は存続派が優勢か
ニューヨーク(CNNMoney) カナダの1セント硬貨が4日付で廃止された。米国の1セント硬貨についてもかねて不要論が出ているが、存続を望む意見も根強いようだ。
米造幣局が昨年鋳造した1セント硬貨は58億枚。1枚につき2セントのコストがかかった。おつりで受け取ってもレジに置いていく客が多いことから、消費者はもはや1セント硬貨に価値を感じていないと指摘する声もある。
企業側にも、5セント単位に切り上げ、切り捨てをすれば店員と客の双方にとって時間の節約になるとの考え方が広がっている。しかし昨夏、メキシコ料理チェーンのチポトレが一部店舗でこれを実行に移したところ、客からの強い反発に遭った。
米国内で昨年実施されたある世論調査では、国民の3分の2が1セント硬貨の存続を望んでいるとの結果が出た。米ペンシルベニア州立大学の経済学者、レイモンド・ロンブラ教授の試算によれば、切り上げ、切り捨ての調整をすると、結果的に消費者が2年間で総額20億~40億ドルも損をするという。
一方、米ウェイクフォレスト大学の経済学者、ロバート・ウェイプルズ教授は、数千店のコンビニエンスストアを調査した結果として、消費者が全体として損をすることはないと主張。毎年多くの1セント硬貨が粗末にされ、流通経路からこぼれ落ちることによる損失の方が大きいと指摘する。
カナダのほかにも、これまでに最小単位の硬貨を廃止した国はいくつかあり、特に問題は起きていない。
だがウェイプルズ教授も、米国で近く1セント硬貨が廃止される可能性は低いとの見方を示す。「廃止の利点をどれだけ説明しようと、米国民の大多数は存続させたがっている。その理由は愛着心だ」と、同教授は分析している。