オバマ氏、ライス国連大使を大統領補佐官に起用 安全保障担当
ワシントン(CNN) オバマ米大統領は5日、7月に退任するトム・ドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)の後任に、スーザン・ライス国連大使を起用すると発表した。新国連大使にはサマンサ・パワー元大統領特別補佐官が就任する。
ライス氏はオバマ政権2期目の国務長官の有力候補だったが、昨年リビアで起きた米領事館襲撃事件をめぐって政治的な意図を持ち誤った情報を流したとして共和党から強い反発を受け、指名に至らなかった。
大統領は記者会見でライス氏について「恐れを知らない強靱(きょうじん)な」人物であり、正義と人間の尊厳を擁護する愛国者だと賞賛。「ライス氏がそばに戻ってきて2期目の国家安全保障チームを率いてくれることにわくわくしている」と語った。
共和党は現在も領事館襲撃事件への対応について、さらなる説明を求めており、ライス氏の起用にはマケイン上院議員ら共和党関係者から批判の声が上がっている。だが閣僚でない大統領補佐官の人事に上院の承認は必要ない。
国連大使に起用されるパワー氏は、オバマ政権1期目の国家安全保障会議(NSC)のメンバーとして多国間問題や人権問題に取り組んだほか、大統領特別補佐官を務めた人物。虐殺防止をテーマに多くの記事や論文を書いており、国連が過去のボスニアやルワンダでの虐殺を防止できなかったことに批判的であることで知られる。
ライス氏、パワー氏ともに外交政策において人権問題を重視していることが知られており、今回の人事は2期目のオバマ政権が積極的な外交へ打って出るシグナルとも受け取れる。必要な介入を行ってこなかったとの批判がある対シリア政策についても、今後の動きが注目される。