米、イラン国連大使へのビザ発給を拒否
(CNN) 米ホワイトハウスのカーニー報道官は11日の記者会見で、イランが次期国連大使に指名したハミド・アブタレビ氏に対し入国査証(ビザ)を発給しないとの方針を明らかにした。
イラン・イスラム革命に伴い1979年11月に首都テヘランで起きた米大使館占拠事件に同氏が関与していたことを理由にしている。米連邦議会は最近、アブタレビ氏の米入国を禁じる法案を可決していた。
国連と米国は1947年、国連加盟国の代表者へのビザ発給を義務付ける協定を交わしており、米政府の今回の対応は異例。
アブタレビ氏は米大使館占拠を実行した強硬派のイスラム学生組織の一員だったとされる。同氏はただ、イランのメディアとの会見で占拠事件では通訳や交渉担当者として活動したが、初期段階の占拠行動には加わっていなかったと主張している。
大使館占拠の中心的人物だった1人もCNNの取材に、アブタレビ氏の主張の正しさを認めた。
同氏はベテラン外交官で、オーストラリア、ベルギー、イタリアや欧州連合(EU)の駐在大使を歴任。外務省でも要職を務め、イランのロハニ大統領に近い人物ともされる。現在は大統領府の政治担当部門に配属されている。
大使館占拠事件などで国交断絶の状態が長らく続く米、イラン両国関係は最近、穏健派とされるロハニ大統領の就任で、雪解けの兆しが見え始めている。欧米とイランの対立原因だったイランの核開発問題でも第1段階の合意が成立、一部の核開発計画の停止や欧米諸国による経済制裁の部分的解除が実現している。
それだけにアブタレビ氏の国連大使指名や米政府のビザ発給拒否は好転していた両国関係を逆戻りさせる材料となる可能性もある。