航空管制システムの混乱、原因は偵察機「U2」 米空港
(CNN) 米カリフォルニア州のロサンゼルス国際空港などで先週発生したシステム障害は、冷戦時代の対ソ連偵察機として名を馳せた偵察機「U2」が、米連邦航空局(FAA)の最新鋭システムを混乱させたために起きていたことが6日までに分かった。
U2は非常に高い高度を飛行していたが、これを検知したFAAのコンピューターシステムは、実際よりも低く、他の便で混雑する高度を飛行中と認識してしまったという。
この問題では4月30日午後、ロサンゼルス国際空港などでシステム障害が発生して一時的に全便の発着を見合わせ、多数の便に遅れが出たり欠航になったりするなどの影響が出た。影響はほぼ半日にわたって続いた。
FAAのコンピューターは航空機の飛行経路を予測して、衝突や制限区域への侵入を未然に防ぐ仕組みになっている。ところがU2が高度の変更などを繰り返したため、システムに負荷がかかってメモリーがほぼ使い尽くされ、処理機能に障害が起きた。
関係者によれば、U2は、ロサンゼルスとオークランド、エドワーズ空軍基地にある3つの管制施設が管理する空域内で、出没や高度の変更を繰り返したという。
それとほぼ同時刻、FAA施設間の情報伝達を担う連邦通信インフラ(FTI)に障害が発生。「(U2の)フライトプランとFTIの障害が重なって、最悪の状況になった」(FAA当局者)という。
FAAではこうした事態の再発を防ぐため、コンピューターのメモリーを増設するなどの対策を講じた。
IHSジェーンズによれば、米空軍は現在、高度9万フィート(約27キロ)まで上昇できるU2偵察機32機を保有している。
ただ、問題は相手がU2だったことではなく、多地点に出没して高度の変更を繰り返したために、飛行経路を予測するシステムがパンクして、高高度の航空管制を担うFAAのシステムをダウンさせたことにあるという。