男性の化粧禁止は差別、免許証の写真めぐり訴訟 米
(CNN) 運転免許証の写真撮影で、身体的な性別が男であることを理由に化粧を落とすよう指示されたのは差別に当たるとして、米サウスカロライナ州に住む若者の母親が2日、連邦裁判所に訴えを起こした。
訴状によると、チェース・カルペッパーさん(16)は今年6月、陸運局(DMV)で運転免許証を取得した。この時の写真撮影でDMVの職員から、化粧をしているのは「変装」に当たり「少年らしく見えない」などと言われ、落とすことを強制された。
カルペッパーさんは男として生まれたが、自身を男と認識していない。日常的に化粧をして女性用の服を着ているという。
母親は、カルペッパーさんが職員のステレオタイプに基づく差別を受け、合衆国憲法が保障する表現の自由を侵害されたと主張する。
同州のDMVはこれに対し、「写真撮影の際に外見を故意に変える行為はもともと禁止している」と説明する。この規定により舞台用の化粧などは認められないが、傷などを隠すための日常的な化粧は容認されるという。
カルペッパーさんの訴訟は損害賠償などの支払いではなく、DMVが規定を変更し、化粧をした顔での撮り直しに応じるよう求めている。
体と心の性が一致しない「トランスジェンダー」の支援団体、TLDEFのマイケル・シルバーマン事務局長は、「男女がどのように装うべきかを決めるのは政府機関や職員が決めることではない」と強調した。