原発火災で河川に石油が流出、環境への影響懸念 米NY
ニューヨーク(CNN) 米ニューヨーク州のインディアンポイント原子力発電所で9日に起きた火災で、隣接するハドソン川に大量の石油が流出し、環境への影響が懸念されている。同州のクオモ知事が10日に記者会見して明らかにした。
火災は現地時間の9日午後6時ごろ、ニューヨーク市中心部から約56キロ北部にあるインディアンポイント原発の変圧器で発生した。この火災で変圧器が破裂して石油が地面に流れ出し、保水タンクからあふれてハドソン川に面した排水施設に流れ込んだという。
クオモ知事は記者会見で、「原油がハドソン川に流れ込んだのは間違いない」としながらも、「正確な量については分からない」と語った。
9日から10日にかけて現場で監視に当たった州の環境保護当局は、直径約90メートルの油膜を確認したと説明。ハドソン川への影響を最小限に抑えるために、吸着剤などを使って流出した石油を除去する作業を予定している。
米原子力規制委員会(NRC)は、流出した石油の量を数千ガロンと推定している。
火災が起きた変圧器は原子炉の建屋から180メートルほど離れた場所にある。原発を保有するエンタジー社によれば、この火災で原子炉のうち1基が自動停止したが、公衆の安全を脅かすような事態にはならなず、負傷者も出なかったという。
しかしハドソン川の野生生物に及ぼす影響について、クオモ知事は「明らかに良くない」との見方を示し、生態系への影響についてさらに詳しく調査すると表明した。