米数学者のジョン・ナッシュさんが交通事故死、半生映画化も
(CNN) 米ニュージャージー州の警察当局は25日までに、米プリンストン大学の数学者で、その半生が映画「ビューティフル・マインド」の題材にもなったジョン・ナッシュさんが交通事故で死亡したと発表した。86歳だった。車に同乗していた妻のアリシア・ナッシュさん(82)も死亡した。
事故は23日、ニュージャージー州モンロー・タウンシップ付近で発生。ナッシュ夫妻が乗っていたタクシーが別の車を追い越そうとして制御を失い、ガードレールに突っ込んだ。警察によると、夫妻はその場で死亡が確認された。捜査が続けられている。
「ゲーム理論」の発展に寄与するなど、20世紀有数の数学者として広く知られ、1994年にノーベル経済学賞を受賞した。
統合失調症を長く患っていたことでも知られ、60年代後半に病状が悪化した際には、アリシアさんがナッシュさんを支えたという。ナッシュ夫妻は63年に一度離婚したが、アリシアさんはその後もナッシュさんを自宅で看病した。
2001年には、ナッシュさんをモデルにした映画「ビューティフル・マインド」が公開され、同作品はアカデミー賞を受賞した。ただ、アリシアさんが闘病を手伝ったことなどは省かれており、「歴史修正主義の作品」と批判する声もある。
ナッシュさんは同映画について、自身の人生を基にした「芸術的な」解釈としている。
ナッシュさんは1928年、米ウェストバージニア州生まれ。若い頃から天才と呼ばれ、50年にプリンストン大学で博士号を取得。59年に統合失調症を発症し、数年にわたる入退院を繰り返しながら研究を継続。最も影響力の大きい米国人数学者の1人としての名声を築き、数々の賞を受賞した。