米、冷戦期にモスクワや北京へ核攻撃を計画 公開資料で判明
ワシントン(CNN) 米国が冷戦中の1959年、核戦争勃発を想定してドイツの東ベルリン(当時)やモスクワ、北京などの大都市に核爆弾を落とす計画を立て、住民を主要軍事目標としていたことが、国立公文書館がこのほど公開した資料で分かった。
資料は米戦略空軍が1956年に作成したもので、ジョージワシントン大学で核の歴史を研究するウィリアム・バー氏の2006年の請求で開示された。ソ連との間で3年以内に核戦争が起きた事態を想定する内容で、ソ連圏の大都市の「体系的な破壊」を目指し、北京、モスクワ、レニングラード(現サンクトペテルブルク)、東ベルリン、ワルシャワなどへの核爆弾投下を計画。目標は工業施設や軍事施設ではなく、あくまでも各都市の「住民」に狙いを定めていた。
この計画についてバー氏は、「近隣の市民や『友軍および国民』が、高濃度の放射性物質にさらされていた可能性があった」と指摘する。
最優先とされたのはモスクワとレニングラードで、爆弾投下の目標地点として、モスクワの179カ所、レニングラードの145カ所をリストアップしていた。
米国の狙いは、ソ連の空軍力をそぐことにあった。現在のような長距離ミサイルや、ミサイル発射能力を持った潜水艦が存在しなかった当時、ソ連にとって空軍力は核兵器配備の要とみなされていた。
「最後のとどめ」として、広島に投下された原爆の8倍の威力を持つ爆弾を投下する計画もあった。また、広島の原爆の70倍に当たる60メガトンの爆弾開発も提言していた。