同性愛差別と批判の法案、州知事が拒否権 米ジョージア
ジョージア州アトランタ(CNN) 米ジョージア州のネイサン・ディール知事は28日、LGBT(性的少数者)差別に当たるとして大企業などが批判を強めていた法案に対し、拒否権を発動すると表明した。
問題の法案では宗教関係者が信教の自由を守るため、同性カップルの結婚式などLGBTへのサービスを拒否できると規定。数週間前に州議会を通過し、ディール知事が署名すれば成立する見通しだった。
しかしディール知事は28日、記者団に対し、「宗教に基づく社会を守るために誰かを差別しなければならないとは思わない」と述べ、拒否権発動を表明した。
ただし宗教界の圧力に屈したわけでも、もし法案が成立すれば同州から撤退すると通告していた経済界の要求に応じたわけでもないと同知事は強調。拒否権発動を決めた理由については「ジョージア州は愛と誠意と寛容に満ちた開かれた州であり、その姿を保ちたい」と説明した。
これに対して法案を支持していたマイク・クレイン州上院議員は、知事の拒否権を覆すため、特別議会の招集を呼びかけた。地元紙の報道によると、特別議会を招集するためには州の上下両院で5分の3の賛成が必要とされ、拒否権を覆すには3分の2が賛成票を投じる必要がある。先に上下両院で行われた同法案の採決ではこの数には届いていなかった。
同法案を巡っては、クラウド大手のセールスフォース・ドットコムやウォルト・ディズニー、コカ・コーラ、ホーム・デポといった大企業が軒並み反対を表明。法案が成立すれば事業を同州から引き上げるなどと表明していた。