米戦闘機エンジンの中国への密輸で共謀、女に有罪
香港(CNNMoney) 米司法省は11日までに、戦闘機のエンジンや無人機(ドローン)の違法入手と中国への不正輸出を共謀したとして起訴された米フロリダ州在住の女が有罪判決を受けたと発表した。8月に量刑が言い渡される見通しで、最大で禁錮20年の判決が下される可能性がある。
起訴されたのはウェンシャ・マン被告。司法省は同被告の身元について詳細を明かしていないが、地元紙の報道によれば、中国生まれで米国籍を取得していたという。
検察によると、マン氏は中国国内の協力者と共謀のうえ、米航空機エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー社や米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の製造したエンジンを購入し中国に輸出しようとした疑い。エンジンの種類はF35、F22、F16など米軍の主要戦闘機に使われているものだという。また、ゼネラル・アトミックス社製のドローンの輸出なども図ったとしている。
マン被告は捜査に対し、協力者は「中国軍のために働く」スパイだと供述。この人物は他国から入手した製品をコピーするのが目的で、特にステルス技術に関心を寄せていたという。
米中間では産業スパイ行為をめぐる事件が問題となっている。専門家は、中国は他国の技術を不正に入手することにより、本来であれば何年もかかる研究開発の過程を省略して近代化を加速させていると指摘する。ただ、中国政府は産業スパイ行為への関与を再三否定している。
戦闘機エンジンの性能強化は中国にとって長年の優先事項だ。3月の全国人民代表大会(全人代)で発表された第13次5カ年計画には、国産エンジンや航空機の開発と生産が主要な目標として盛り込まれた。
ただ、これは自国開発が難しい分野で、中国は他国からの技術輸入に大きく依存せざるを得ないのが現状だ。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2011~15年、中国の兵器関連の輸入の3割をエンジンが占めていた。