米大統領選は躍進のチャンス? リバタリアン党の実態を探る
(CNN) 「リバタリアン(自由至上主義者)」について語るとき多くの人が連想するのが金と大麻だ。リバタリアンは米連邦準備制度理事会(FRB)に対する会計監査を主張し、金本位制への回帰を提唱する一方、薬物の取り締まりに反対し大麻を好む人も多い。だが今年の米国政治がこれまでにない展開を見せるなか、リバタリアン党はこうした極端な位置づけから脱却して躍進するチャンスを迎えている。
6月下旬に発表されたCNNと調査会社ORCの共同世論調査によると、リバタリアン党の大統領候補、ゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事は全米で9%の支持を獲得した。緑の党の候補となる可能性が高いジル・ステイン氏も7%の支持を得ている。
民主、共和両党の候補に投票すると決めていない有権者に対し、この2人を加えた4人の争いになるとの想定で質問したところ、ジョンソン氏が23%、ステイン氏が12%と合わせて3分の1以上の支持を得た。
リバタリアン党は1971年に結党。イデオロギーや政治面で民主、共和両党に代わる選択肢を提供している。経済から社会問題に至るまで、あらゆる分野で政府の関与を削減するのが党の主張だ。
具体的な政策やどこまで政府の役割を縮小させるべきかについては見解がまとまっていない。ただ、福祉の削減や経済面での規制緩和、FRBの大幅な改革を目指すことではほぼ一致している。社会問題に関しては、同性婚や薬物の合法化に賛成するなど一般にリベラルな方向性を取る。銃を所持する権利を強く擁護する一方、他国への軍事介入には懐疑的だ。
こうした理念の多くは、「肩をすくめるアトラス」などの著作で知られる作家のアイン・ランドが掲げた原則に根ざしている。利他主義よりも「エゴイズム」の方を好み、他人に危害を加えない限り個人の利益が何よりも優先されるとするリバタリアンの原則が一般に広まった背景にはランドの影響もあった。